<車の故障・修理>実例集

<故障・修理実例> その他

2006年8月13日(日) 河合君への返信(マフラーのしくみ)

マフラー内部

 河合君、メールをありがとう! 「14歳の挑戦」の時は良く頑張ってくれましたね。さて メールで問い合わせがあった”マフラーのしくみについて知りたい”ですが資料を 探してみました。しかし適当なものがなかったので私なりの情報をお知らせしたい と思います。
マフラーの中の構造は写真に示すように いくつかに仕切られた部屋を排気ガスが通って いるパイプがあるだけです。そして写真ではわかりにくいかもしれませんが パイプには 無数の小さな穴が開けてあります。写真のマフラーはトラック用のものなので、静粛性を 重要視する乗用車系のものはもう少し複雑な構造になっているかもしれませんが 基本的な 考え方は同じと思われます。
マフラーの構造がある程度わかったと思いますので 今度はマフラーの働きについて 述べてみたいと思います。
1、まずマフラーの重要な働きは”エンジンの排気音を消すこと、または小さくすること” です。勢いのある排気ガスがマフラーの中にあるいくつかの部屋に拡散されることにより その効果がでるようです。マフラーのないエンジン音はかなりうるさく、そのバリバリ音の 近くで普通の会話をすることは無理です。それがマフラーを通ることによってすごく静かに なるのですから不思議ですね。
2、次にマフラーの働きとして考えられることは 排気ガスの温度を下げることです。 エンジンから出た直後の排気ガスの温度はかなり高く、そのまま車外に放出すると、例えば 枯れ草など燃えやすいものがあったら火災の原因になりかねません。また車自体にも 色々な悪影響が出ます。エンジンから出た直後の排気ガスの温度はかなり高く マフラーや パイプを普通の鉄で作るととてももたないので(溶ける)耐熱性のある金属が使われて います。しかし それでも高温と低温に頻繁にさらされるのと排気ガス中に水分が発生して 内部に溜まるので錆びやすい欠点があります。それに製作過程で溶接を行うため、溶接部分は強い のですがその根元付近は引っ張られるため厚みが薄くなり錆びつきの影響を受けやすく 最終的には穴があき 交換が必要となります。この場合 構造のシンプルさからは考えられない くらいけっこう高い金額になります。やはり耐熱性金属の価格が高いのでしょうか。
エンジンを出た高温の排気ガスもマフラーを通り パイプの出口に出てくるころにはかなり 温度が下がり 車が止まっているときは手で触れることができるくらいになっています。 (火傷の恐れがありますから触らないでください)ただし高速道路を走っている車などの 排気ガス温度はかなり上がっているようで 夜 注意深く見ると排気ガスに火の粉が混じって いるのをみることができます。
3、話が長くなりましたがマフラーの働きの最後に移りたいと思います。実はこのことは あまり知られていないことだと思いますが 排気ガスは真っ直ぐに均一に流れているわけでは ないのです。強くなったり 弱くなったり専門用語で言うと「脈動」しながら流れているのです。 海で例えれば”波のうねり”になるでしょうか。そして大切なのはこの脈動にうまく合うように マフラーやパイプを設計しないと排気ガスの流れの抵抗になってエンジン性能をうまく引き出す ことができないのです。(排気効率)マフラーは1と2で述べた排気ガスに抵抗を与えることによって 「消音」と「排気ガスの温度を下げる」という働きをしながら 反面排気ガスをうまく流して  エンジン性能をうまく引き出さねばならないという相反する働きも要求される 難しさがあります。時々オートバイなどでマフラーを外して走っている人を見ますがバリバリ 音のわりにはエンジンの力は出ていないし 燃費も悪いはずです。その上騒音で他人に迷惑を かけるのですから いいところ無しです。この状態を見てもマフラーの働きとその重要性が わかってもらえると思います。
4、最近の車の進歩はめざましいものがありますが ことマフラーに関して言えば昔とあまり 変わっていないような気がします。それだけ完成された部品と言えるのかもしれません。しかし メーカーが新車の設計をするとき マフラーのその大きさと取り付け位置にかなり悩んでいる はずです。河合君!もし今のマフラーの性能を失わず マフラーの大きさを半分にすることが できたらノーベル賞ものかも・・・(笑)

それではこの辺でー。勉強にクラブ活動にこれからも頑張ってください。

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